私のお店に、身なりのよい中年夫婦が車を売りにきたときの話です。

車の査定をし終わり、事故歴があったのでそのことをお客さんに説明しました。


「右のフロント部分を事故していますよね。それが大きな減点となってしまいます」


そう話すと、お客さんからは意外な言葉が。


「何!失礼なことを言うな。事故なんかしていないぞ。新車から大切に乗ってきた車なんだよ。いい加減な査定をするなよ。
は、はぁ~、そうか。いちゃもんつけて、安く買い叩こうという魂胆か?」


そういわれても、確かに事故を修理した跡が残っているので困ってしまいました。
そうかと言って、ごまかそうとしている感じでもありません。

ごくまれなのですが、新車を納車する前にディーラーで事故をし、それを直してお客さんに納車することがあると聞きます。
今回そのパターンかなぁ、と思っていました。

しかし事故歴があることは事実です。
お客さんに責任は無いかもしれませんが、事故車扱いとなり減額になることはしかたありません。


そのことをもう一度お客さんに説明しますが、全く納得する様子ではありません。
それどころか、


「責任者を出せ。責任者ともう一度査定しなおして来い!」


などと言い出しました。(ちなみに責任者は私なんですが・・・。)

困っていると、隣に黙って座っていた奥さんが、突然顔を真っ赤にして、


「ごめんなさい、あなた。私なの。昔あなたが出張にいっているときぶつけてしまったの・・・」

「何!バカヤロー」


とそこからは夫婦喧嘩の始まりです。


結局最後は、

「また出直してくる」

と帰ってしまい、二度とお店に来ることはありませんでした。

いやはや、とんだ人騒がせなお客さんです。