以前私のお店であった話です。
店内に入ってきたお客さんは、どうやら慌てている様子。
私のお店は即金買取をうたい文句にしているのですが、まずはそれを確認してきます。
「本当に車と引き換えに現金を渡してくれるんでしょうね?」
このように確認してくるお客さんは、私達にとって上客です。
「はい、書類さえ揃っていればすぐにでも現金を用意しますよ」
そう丁寧に答えてはいますが、内心では笑みがこぼれています。
先ほど車検証を確認したのですが、車の名義は会社名義です。私の思ったとおりでした。
おそらくこの方、会社の社長なのでしょうが、取引先への支払時刻が迫っていて、慌てて車を現金化しにきたというわけです。
こういった時に私がすることは一つです。
焦らすだけ焦らす。
「スイマセン、仕入れ価格担当のものと連絡を取っているのですがなかなかつかまらなくて・・・」
お客さんは時計をチラッと見て、少しむっとした様子。
そろそろ痺れを切らして席を立とうとしたとき、
「大変お待たせしました。今担当者と連絡が取れましたのでもうしばらくお待ちください」
それからさらに5分後。
「○○様、大変残念なのですが、この手の車の相場が大変下がっているようです。あまり良い価格がご提示できません」
「いいから、いくらなんだ。すこし急いでいるんだ」
「そうですか、大変申し上げにくいのですが、当社が買取させていただく金額は○○円です」
この金額、通常の相場より○十万円安い金額です。
しかし焦っているお客さんは、
「それで良いから、すぐに現金を用意してくれ」
「はい、かしこまりました」
実はお客さんがこう言ってくることは予想済みでした。
最近では車の買取店で、現金払いするところは少ないため、私のお店のように即金で買取してくれるお店は、それだけで貴重のようです。
もちろんこの手のお客様は、もっと貴重ですが・・・。